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●アート・ペッパー / ムーチョ・カラー(紙) / MUZAK(ミューザック) / JPN / CD / MZCS1332 / 2,484円(税込)

アート・ペッパーはワンホーン。つまりピアノ・トリオを背後に従えたカルテットに限る。トランペットやテナー・サックスの随奏者は要らない。足手まといになるだけだ。なぜならペッパーはジャズ史上、10人の中に入るインプロバイザーだからである。私は、あらましペッパーについてはこんなふうに考えていた。若い頃の話である。ペッパーの熱烈なファンだった頃。久しぶりにペッパーを聴いた。つまり、本作である。あれっ、こんなに良かったのか。新しい発見をしたように急に嬉しくなった。この盤については、ペッパーは私の圏外にいたが、今回、私に寄り添ってきたようである。考えてみると、本盤の良さは、ある意味、歳がいってからでないとわからないのではないか。ペッパー・ファンにとって晩年に聴くべき一作というのが私の本作評価なのだがどうだろう。とっくに良さがわかっているよ。そういう声が聴こえてきたが、それは、大いにけっこう。この作品のいいところ。アート・ペッパーというアルト・サックス奏者の一番凄いところはテーマ演奏やインプロゼイシングにおける一瞬の「ひらめき」にある。絶対に平坦であったり、おっとりしたりはしない。それが、ワン・ホーン型式だと、全面的にペッパーだから「当たり前」になってしまう。ところがこの盤のように三管編成だとソロも短くなるし、旨い物をほんの少々味わうがごとく、あきるということがない。そして次のこと柄が重要なのだが、トランペットやテナー・サックスと比べるとペッパーが光り輝くのがわかるのである。抜きんでて飛び出すといった感がある。他の奏者はかわいそうに平凡な演奏者にみえてしまう。そういう比較が本作では出来、ペッパーの延びやかに飛翔するすばらしさが手にとるようにわかる仕掛けになっている。三管のアンサンブルの中にペッパーの光が見えるようだ。~大物はなんといっても一曲目の「ムーチョ・カラー」である。作曲、編曲ともビル・ホルマンだが、なにより曲がいい。ラテンの要諦、哀感がひしめいている。聴きどころは1分50秒あたりにあり、ラテン・リズムから急転直下4ビートに変わり、ペッパーが縄を解かれた犬のようにアルトで飛び出す。この変わり身の素早さがラテン・ジャズの魅力のかんどころだ。・・・寺島靖国(ライナーより)

メンバー:
アート・ペッパー(as)
コンテ・カンドリ(tp)
ビル・パーキンス(ts)
ラス・フリーマン(p)
ベン・タッカー(b)
チャック・フローレス(ds)
ジャック・コスタンゾ(bongos)
マイク・パチェコ(bongos)
録音:1957年10月3日/ロサンゼルス

(新譜案内より)


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